補足説明 「ガンマ線バーストと残光の観測」



agexam.gif   現在、 ガンマ線バーストが発生したとき、我々が観測できるのはガンマ線バースト 自身と、その「残光」です。ガンマ線バースト自身は持続時間が0.1秒から 数百秒と非常に短く、これまでのところガンマ線域 でしか観測されていません。一方、残光はX線、紫外線、可視光、赤外線、 電波のあらゆる波長域で観測されます。両者の時間軸上の関係を図示したのが 左図です。図は可視残光の光度曲線の1例で、横軸がバーストからの 時間(単位:時間)、縦軸が等級です。

  時間を追って、ガンマ線バースト観測の実際を見てみましょう。 まず、地球の周りを跳んでいるガンマ線観測衛星が、ある時刻(図中では時刻=0) にバーストを検出します。この瞬間、まだ地上の研究者はガンマ線バーストが 発生したこを知りません。次に、観測データから自動解析プログラム又は 地上の研究者の手によって、バーストが発生した位置が決定されます。この 位置情報は世界中の研究者にメール等の手段を用いて配布されます。そして、 その情報を受け取った観測者がフォローアップ観測を開始するわけです。 この一連の作業(バースト発生から位置情報の配布)には、典型的には数時間 かかるので、地上観測が始まる時にはバースト自身は既に終っています。 従ってフォローアップ観測の主な目的は残光を見つけることで、明るい残光が 発見された場合は世界的な国際共同観測が行われ、残光が急速に暗くなって いく様子が記録されます。残光は明るいものだと数十日間観測されるものも ありますが、一方で残光がまったく検出されないガンマ線バーストも多く あります。

2000年に打ち上げられた、マサチューセッツ工科大学と日本の理化学研究所等が 共同で開発したガンマ線観測衛星「HETE-2」はバーストから 数十秒で位置情報を配布することができ、地上観測開始までの時間は ここ最近で劇的に 改善されつつあります。

ガンマ線バースト現象が最初に報告されたのは1973年のことですが、 その「残光」が発見されたのは比較的最近(1997年)のことです。これまでの 研究から、残光の挙動は「火の玉(fireball)」から光速に近い速度で 噴出したジェットが、星間ガスと 衝突しながらその膨脹速度をしだいにおとしていく描像 が提案されています。



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