補足説明 「これまでの残光の観測結果とその特徴」

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上図:ガンマ線バーストの 可視残光の光度曲線の例。 横軸はバースト発生からの時間で単位は日。縦軸は等級。 左:2001年2月22日 のガンマ線バースト残光。 右:2002年3月31日の ガンマ線バースト残光。データはGCNより。

 これまでの残光の研究でわかっていることは、残光は時間のべき (上図中で直線: power.png) で減光していく、ということです。この減光する速さは波長によらず一定で、 それらの観測結果から、残光は「火の玉(fireball)」から光速に近い速度で 噴出したジェットが、星間ガスと衝突しながら その膨脹速度をしだいにおとしていく描像が広く受け入れられつつあり ます。このモデルは残光光度が時間のべきで減光する特徴等を自然に 説明することができる一方で、それ以上のジェットとガンマ線バーストの 性質を明らかにするには観測が決定的に不足していました。上図を見ても わかるように、残光は多くの場合発見時にはすでに暗く、残光は各地の 観測所で観測されるものの、その連続した時間変化を調べるのに充分な データは得られてきませんでした。
 
  ガンマ線バーストのような突発現象 の観測について特記すべきは、日本の位置の重要性です。上図 左のパネルが顕著ですが、このガンマ線バースト残光はアメリカの観測所で 発見されてからしばらくはアメリカ国内での観測値が続きます。その後、 数時間の空白域があって、ヨーロッパの観測可能域に入って再び観測点は 増加します。この空白域が日本での観測可能域なのです。国内にはこの 程度明るさ(約19等)の残光を観測するのに適した望遠鏡が少ないため、 世界的な国際共同観測が行われているにも関わらず、充分な観測ができない 情况にあります。 京都大学宇宙物理学教室附属天文台は 他機関とも協力して、このような情况を打破すべく、 新中口径望遠鏡を岡山に設置する計画をたてています。


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