図の解説 GRB030329可視残光の光度曲線


上図 a: 2003年3月29日に発生した
ガンマ線バースト
(GRB030329)の残光の
可視光光度曲線。横軸はバーストからの時間。対数スケールで描かれ、
単位は日。縦軸は残光の等級。点線は平均減光成分。b:
平均減光成分からの変動成分。
(解説) 我々の観測はバースト76分後から開始され、1日後までの早期
残光の
挙動をほぼ全て明らかにしました。これまでの観測
では残光の早期の挙動は大まかな傾向しかわかりませんでしたが、今回初めて、
上図のように、残光の時間変化を連続で観測することに成功しました。
図中の点線は平均の減光傾向を表しています。これまでの観測でも、
残光はこのような直線(光度が時間のべきで変化する)を描くことは知られて
いました。これはバーストの産みの親である「火の玉(fireball)」
から光速に近い速度で噴出したジェットが、
星間ガスと衝突しながらその膨脹速度をしだいにおとしていく描像で
自然に理解されます。一方、GRB030329の場合は、我々の密度の高い精密な
観測によって、この平均減光成分から外れた変動成分が捕えられました
(上図 b)。残光がこれほど激しい変動を繰りかえし起こすとは、これまでは
予想もできなかったことでした。このような変動はその後数日間続くことに
なりますが、そのような変動現象を説明するには、ジェットの衝撃波面の
エネルギーが時間変化する必要があると考えられます。我々の観測は
そのエネルギーの時間変化の研究を可能にし、ガンマ線バーストの
新描像に迫る画期的な成果となりました。
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