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[vsolj-alert 188] Extremely rare outburst of V592 Her



Extremely rare outburst of V592 Her

                        VSOLJニュース  (006)

    反復新星?矮新星? ヘルクレス座V592星が30年ぶりの大アウトバースト

                                         著者  :加藤太一(京大理)
                                         連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 ゾンネベルク天文台(ドイツ)の写真から、Richterが1968年に12等星の新星様の
爆発を起こしていた天体を発見し、ヘルクレス座新星1968と呼ばれていました。こ
の天体は後にヘルクレス座V592 (V592 Her)と命名されましたが、写真記録から読み
取られた光度変化は新星にしては特異で、新星とは少し異なる種類の天体、例えば
特異な矮新星やX線新星(ブラックホール連星などで起きる突発的増光)ではない
かと指摘されていました。しかし爆発後の同じ場所を詳しく調べても22等星よりも
明るい天体は見当たらず、爆発の振幅は10等星以上と、既知の矮新星の変光範囲を
はるかに超えることから、現在に至っても正体が判明していません。同じくゾンネ
ベルク天文台のパトロール写真に1986年 5月12日に13.6等で写っていたことから、
この天体の爆発は反復する現象であることが明らかになりました。次の爆発が期待
され、多くの観測者による監視が行われてきたにもかかわらず、10年以上にわたっ
て再爆発は見出されませんでした。(参考文献:発見の経緯については IBVS 293,
再増光については IBVS 3619)

 1998年 8月26.835日(世界時)、長く待たれていた再爆発がフィンランドのKinnunen
によって12.0等で発見され、VSNETの速報ネットワークに通報されました。この発見
の報告を受けてアメリカで確認観測が行われ、8月27日(世界時)に13.0等で観測され
ています。この天体がこのような明るい爆発現象を示したのは30年ぶりとなりま
す。

 天体の位置は

  16h 30m 56s.37  (J2000.0)
  +21o 16' 58".3

  ですが、1968年の写真からの測定のため若干の誤差が見込まれます。

 VSNETに現在までに報告された光度は以下の通りです。< は天体が見えなかった
 こと(上限値)を示します。

  YYMMDD(UT)   mag  observer
  980822.887  <147  (G. Poyner, イギリス)
  980822.910  <140  (T. Kinnunen, フィンランド)
  980823.231  <146  (L. E. Shaw, アメリカ)
  980823.506  <142  (T. Watanabe, 日本)
  980824.819  <140  (T. Kinnunen)
  980824.901  <153  (G. Poyner)
  980825.899  <132  (P. Schmeer, ドイツ)
  980826.835   120  (T. Kinnunen)  再爆発の発見
  980826.862   123  (T. Kinnunen)
  980826.915   125  (T. Kinnunen)
  980827.181   130  (L. E. Shaw)
  980827.192   130  (G. Hanson, アメリカ)
  980827.269   130  (L. E. Shaw)

 天体の素性については、新星(この場合は反復新星となります)、特異な矮新星、
あるいはまだ未知の種類の天体の可能性も含めて確定されていません。今回の爆発
の観測によってこの疑問が解かれることが期待されます。スペクトル観測、CCD
による連続測光観測のいずれもが非常に意義があります。新発見の事実については
今後続報でお伝えできると思いますが、実際の観測方法の詳細や今後の時々刻々の
情報の必要な方は、下記のVSOLJメーリングリストにご参加いただければ幸い
です。

							1998年8月27日

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