VSOLJニュース (005) 同じ銀河に今年2個目の超新星 著者 :山岡 均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp 超新星は、ひとつの銀河に100年あたり1個か2個くらいしか出現しない稀な 現象です。ところが、ひとつの銀河に今年2個目の超新星が発見されたという 報告がありました。 IAUC 6998(1998年8月26日付)によると、オーストラリアのアマチュア天文家B. Whiteさんは8月23日、ぼうえんきょう座の棒渦巻銀河NGC 6754に、14.3等の新 しい星があるのに眼視観測で気付きました。新天体の位置は、赤経19時11分 23.78秒、赤緯-50度38分25.5秒(2000年分点)で、銀河の核から19秒西、5秒北 にあたります。同じ銀河に今年3月発見された超新星1998Xは、この新しい星よ りも5秒ほどさらに西、8秒ほど南の位置が報告されていて、別の星であること は明らかです。 超新星1998dqは、8月24日の観測で非常に青く見えており、爆発後それほど 時間が経っていないことをうかがわせます。また、II型超新星だった1998Xは 発見時17等だったことを考えると、これより数段明るいものだとわかります。 スペクトル観測はまだ報告されておらず、タイプの決定や今後の光度変化に非 常に興味が持たれます。 ひとつの銀河に2つの超新星が同時に観測された例としては、1992年にMCG +10-24-007という渦巻銀河に、超新星1992Rと1992acが出現したというものが あります。今回のものは、それ以来ということになります。 1998年8月27日 ----------------------------------------------------------------------------- ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJの速報メーリングリストにご加入いただくと便利です(お申し込み は vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで)。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。