山岡@九大理 です。 IAUC 6829に報じられたように、Sc型の銀河NGC3877に超新星1998Sが出現しま した。位置は、R.A. = 11h46m06s, Decl. = +47o29'.0 (2000.0)で、母銀河 の核の西16秒、南46秒にあたります。おおぐま座ですね。 発見時(3月3日)に15.2等ほどだったものが、確認観測(4.3日UT)には13.5等ま で上がっており、まだ増光中のもののようです。(等級はいずれもフィルター なしのCCD等級です。) スペクトルは、まだfeaturelessで、もしかするとH-alphaの広い輝線が乗って いるかも、という段階です。II型じゃないか、ということですが、確定とは言 えません。爆発後非常に初期の段階なのは間違いないところでしょう。 Turryのnearby Galaxy Catalogでは、NGC3877はm-Mが31.15で、ほぼVirgoと同 じ距離です。とすると、13.5等というのは、典型的なII型のピークよりも明る いかな、という感じを受けます。割に少ないII-L型(光度曲線が平坦なプラトー にならずlinearに落ちるもの)である可能性も高いかと思います。もしくは classificationが違うのかもしれません。 II型だった場合、スペクトル観測と測光観測を組み合わせた測距というのも注 目されるところです。特にII-Lは例が少ないので、もしそうだったらこの測距 方法のverifyにも役立つでしょう。 ただし、この超新星は銀河に重なっていて、Aperture Photometryなどは難し そうです。逆に、眼視観測のほうがやりやすいかもしれません。 いずれにしても、この超新星の測光観測は大きな意味を持つことは間違いあり ません。可能な方の観測を強く呼びかけたいと思い、vsoljに投稿させていた だきました。よろしくお願いします。 九州大学(六本松地区)理学部物理学教室 山岡 均 〒810-8560 福岡市中央区六本松4-2-1 yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp