Historical document: V4140 Sgr その昔、某所で紹介した文書ですが、今となっては新しい人はほとんど読めない ようなところに行ってしまっていると思われますので、文書が見つかったところ でその都度紹介していきたいと思います。内容は古いものも多いので、その点は 考慮して読んでください。一部当時関係した人名が出てくるところもありますが、 ご了承ください。 (1992/10/22) V4140 SgrはNSV12615として発見された UG? 星でしたが、その後の高速測光によっ て深い食を伴う激変星であることが明かにされました。軌道周期は 1h28m と大変短 く、SU UMa型ではないかと当初予想されていましたが、増光がはっきりと認められな いことから、EX Hyaに似た NL 型ではないかという意見が出ています。ただしこれは まだ未確定のようです。 ところで、伴星がロッシュローブを満たした状態を保って伴星から主星に物質の移 動が起こると軌道周期は短くなります(そのためには系から角運動量が外に失われる 必要がありますが、これはまたややこしくなるので別の話題としましょう)。そのよ うな周期変化を検出する試みは何度かなされて来ましたが、あまり成功しませんでし た。このV4140 Sgrは軌道周期が特に短かったこと(発見以来すでに30000公転を越え ている)、質量移動率が大きめだったことから変動が検出されたものだと思います。 2次式の場合の食の要素は次のように与えられています。 BJED = 2446261.671920 + 0.061429649 E + 4.38 x 10^-13 E^2 (8) (1) (.26) Po/(dP/dt) = 1.18 x 10^7 yr (6) 著者はこの他に、伴星の磁場の変化(太陽の活動周期のような)でも説明可能であ ろうとしており、この変化が2次式なのか、あるいは周期性のあるものかの今後の確 認が待たれます。 ところで、同じように周期変化の検出されている馴染みの激変星として、IP Peg があります。これも同様の問題を抱えていて、まだ周期変化があるのかどうかはっき りとわかっていません。食の中央時刻の観測が望まれる由縁です。 (参考文献: Baptista et al. Astron. J. 104, 1557 (1992))
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