Historical document: HV And その昔、某所で紹介した文書ですが、今となっては新しい人はほとんど読めない ようなところに行ってしまっていると思われますので、文書が見つかったところ でその都度紹介していきたいと思います。内容は古いものも多いので、その点は 考慮して読んでください。一部当時関係した人名が出てくるところもありますが、 ご了承ください。 (1992/07/04) HV And -- この星も変な星のようだ。観測を HV Andは1975年、M31近傍の変光星を調査していたMeinungerによって発見 された、青い不規則変光星 HQ And, HV And, IO And, IW And のうちの一つ です。その不規則な変光のパターンや、スペクトル観測から(Meinunger 1980) AM Her型のような、強磁場激変星に属する星ではないかと推測されていたも のです。(このうちIO Andについては、クエーサーであることが判明している) HV Andは、その中でも短時間の変動が観測された(Andronov and Banny 1985) こともあって、AM Her型の有力候補と考えられてきました。Andronovらは変動 周期の解析から、可能性のある周期として0.055994, 0.055404, 0.056600, 0.055043, 0.057010, 0.055627日を挙げていました(原図を見たところでは それほど周期性があるとも思えませんでしたが・・)。これらの値がAM Her 型星の周期の下限に近いことから、確認観測が望まれていたものです。 さて、Schwope and Reinsch(1992) は、この星を1988年6月、Calar Altoの 2.2mで観測しました。AM Her型であれば当然示すはずの「円偏光」を検出する ためです。さらに彼らは1988年11月と1991年7月、Calar Altoの3.5m望遠鏡で 分光観測を行っています。 結果は、AM Her型のような円偏光の変化は検出されず、多分違う型であろう ということになりました。ただし少し偏光が受かっているようで、円偏光の最 大値 3±1%, 直線偏光の最大値 4±1.5% が与えられています。分光観測の結果 は時によって見え方が違い、Hαが輝線で他は吸収線の時、Hβ、Hγも輝線 の時があるようです。輝線のすそ野には幅広く広がった吸収が見られ、降着円 盤のスペクトルに矛盾しません。このような輝線のパターンの変化は、どちら かというと不安定な降着円盤を示していると思われ、この星が長期的にどのよ うな変光を示すのか興味が持たれます。多分VY Sclのようなbright stateと faint stateを伴うanti-dwarf novaタイプの激変星またはUG型に近いものでは ないかと想像されます。同じような動機で観測が行われて、最近UG型らしいこ とが判明した PG0943+521に類似した天体かも知れません。またAM Her型は否定 されたものの、偏光が存在するらしいことから(これまでにAM Her型以外で円 偏光が検出された激変星はBG CMiだけだったような気がする)、磁場の弱いグ ループに属する激変星(DQ Her型星)の可能性もあるようです。 ref: Andronov, I.L., Banny, M.I., 1985, IBVS No.2763 Meinunger, L., 1975, Mitt. veranderl. Sterne, 7, 1-21 Meinunger, L., 1980, IBVS No.1795 Schwope, A.D., Reinsch, K., 1992, IBVS No.3725
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