Historical document: eclipse その昔、某所で紹介した文書ですが、今となっては新しい人はほとんど読めない ようなところに行ってしまっていると思われますので、文書が見つかったところ でその都度紹介していきたいと思います。内容は古いものも多いので、その点は 考慮して読んでください。一部当時関係した人名が出てくるところもありますが、 ご了承ください。 #これも深く追求してはいけない(^^;) (1992/10/16) オンライン野鳥用語辞典:エクリプス (eclipse) 日本野鳥の会発行の「フィールドガイド日本の野鳥」によれば、次のように解説 されている 「カモの雄は、繁殖が終わってつがい形成の時までの8月〜10月に雌と同じよ うな地味な色になる。これをエクリプス羽という。体の色では雌とまったく区別が つかない場合もあるが、くちばしの色や翼のパターンは生殖羽と同じで雌と違う。」 さらに追加すると、完全にエクリプス羽になった個体を "total eclipse"、部分 的にエクリプスになった個体を "partial eclipse" と呼ぶ。まん中だけエクリプス 羽になって周辺が残ってしまったようなまれなケースは "annular eclipse" と呼ば れる。エクリプス状態になりつつある状態を "ingress" と言い、エクリプス状態か ら脱しつつある状態を "egress" と呼ぶ。その他わずかにエクリプスになるだけの 状態を "grazing eclipse" と呼ぶらしいが、最近は occultation という用語がよ く使われるらしい。(野鳥の会の人が読んでいないことを祈ります・・) さてさて、観察をする上ではこのように希な現象であるため、特に観察を始めた ばかりの初心者にはなかなか巡り会えないものであるために、各地にエクリプス専 門の観察機関が設立されているらしい。よくお分かりのように、エクリプスは過渡 的な現象であるため、観察をするには時と場所をよく選ばねばならない。ましてや 地球上を縦横に動き回る渡り鳥、古来より多くの人が観察を繰り返し、その規則性 を見いだして来た。その成果は古来の時代考証にも使われる程正確なものらしい。 そして毎年秋頃になると、翌年のエクリプスの予想が「野鳥年鑑」「野鳥観察年表」 などに発表され、エクリプスに取り付かれた人達は、パソコンのディスプレイに刻 々と表示されるエクリプスの進行具合いを見ながら、翌年の現象に胸をときめかせ るのだそうだ。 しかしながら、そこは自然現象。多大なる費用を費やし、フィールドスコープに 超望遠レンズ、ビデオといった重装備でエクリプスの見られると予想された地域へ 千里の道も遠からじ、砂漠を越え、遠洋航海にも堪え、地の果て地球の裏側へ出向 くも、天候の加減によってはお目当ての野鳥を拝むこともできないこともしばしば と言われる。 それにもかかわらず、エクリプスの魅力に取り付かれた人々は、もしかすると巡 り会えないかも知れない自然のドラマを求めて、日夜アルバイトを重ね、次なる感 動の出会いに備えるのだそうだ。(後略)
Return to the Powerful Daisaku Nogami
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