Historical document: V1017 Sgr その昔、某所で紹介した文書ですが、今となっては新しい人はほとんど読めない ようなところに行ってしまっていると思われますので、文書が見つかったところ でその都度紹介していきたいと思います。内容は古いものも多いので、その点は 考慮して読んでください。一部当時関係した人名が出てくるところもありますが、 ご了承ください。 (1992/08/21) 昨年末に増光をしたV1017 Sgrは時々反復新星の仲間にも入れられたり、共生星 の仲間にも入れられたりと、分類不詳の変な新星だったのですが、最近その軌道 周期が測定され、GK Perに一番似ていることがわかりました。 論文は、K. Sekiguchi, Nature Vol.358 p.563 (1992) なのですが、南アフリカ 天文台の1.9m望遠鏡で9点の視線速度観測を行った結果、可能性のある周期として は 0.851, 1.212, 5.714 日が得られたそうです。V1017 Sgrの伴星のスペクトル が G5III 型なので、このうち伴星を収めることができる軌道の大きさを持つとい う条件から 5.714日が残ったということです。 これで、「新星爆発」+「わい新星増光」を起こす系として、GK PerとV1017 Sgr の類似性が浮かび上がってきたということです。GK Perも激変星にしては例外的に 長い軌道周期を持っており(1.996日)伴星は主系列を離れてすでに進化が進んで います。V1017 Sgrの1991年の増光のスペクトルはGK Perに似ていたそうです。 また同様の系としてUG型に分類されている BV Cen(軌道周期 0.611日)がありま すが、これも新星爆発が見逃されただけなのかも知れません。 軌道周期の長い新星(といっても、新星の軌道周期は殆ど知られていませんが) をモニターしていると今後同じ様な活動を示す天体が見つかるかも知れません。 また、BV Cenのような変わったUG型も詳しくスペクトルを取ると新星の膨張する ガスの名残が見つかるかも知れませんね。 なお、V1017 Sgr は 1919年の新星。その他に 1901, 1973, 1991 年のわい新星増光 が知られています。
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