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[vsnet-j 2498] Fw: Re: R CrB dust



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 Date: Wed, 26 Feb 2003 15:08:50 +0900
 From: "Koji S. Kawabata" <kawabata@subaru.naoj.org>
 Subject: Re: Re: R CrB dust

高橋さま、加藤さま、

初めまして、川端です。

ウェブの図は見ていませんが、おそらく、
・中心星近くにいくつか、放射状に拡がりつつある「濃い」ダスト塊があって、
・それら全体を取り巻くように球殻状の大きくて「薄い」ダスト雲が描かれている
ことと思います。
少し紛らわしいと思いますので、以下に私の理解で説明を加えます。

図のうちランダムに噴出される濃いダスト塊が可視の不規則な減光に寄与しており、
一方、外側にある大きいダスト雲殻が近赤外輻射に寄与していると考えられています。
(R CrB型星は一般に近赤外で明るい)

この外側の薄くて大きなダスト雲殻の内側の半径は、恒星半径の100倍程度あって
半定常的に存在していると考えられています(最近ですと Ohnaka et al. 2001,
Yudin et al 2002など)。R CrB型星が示す近赤外輻射強度はある程度変動していますが、
可視の減光とは相関が無いようです。
これが、「濃いダスト塊」よりも外側にあると考えられる理由の一つです。

我々は極大光度期にも、この薄いダスト雲を通してR CrBを見ていることになります。
おそらく、可視減光を引き起こすような濃いダスト塊が次第に四散して速度も遅くなり、
全体として星の周りを大きく取り囲む薄いダスト殻になるのでしょう。

という訳で、やはり炭素を多く含んだダスト(地上の感覚ですと「すす」「煙」)
が噴出されて、それがたまたま我々の方向だったときに星が隠されて減光され、
次第に拡散して薄くなると、極大光度に戻るというふうに一般には考えられていると
思います。

---
川端 弘治

At 10:09 03/02/26 +0900, you wrote:
> >   Clayton の review に概念図が出ています。
> >
> >   http://snake.phys.lsu.edu/~gclayton/
>
> ありがとうございます。恒星半径の20倍の場合と2倍の場合の
>図があり、(ちょっと細かいところの文字がつぶれていてわかりに
>くい所もありましたが)おおよそのイメージがわかりました。
>
> 本文についてもざっと斜め読みしただけなので間違っているとこ
>ろがあるかもしれませんが、RCB型の減光というのは、
>
> 炭素のチリが吹き出された時に、それによって恒星が隠されると
>言うより、恒星から炭素を多く含んだダストが普段から出されていて
>それがいくつも恒星の周りを回っており、その一つがたまたま地球
>と恒星を遮るようになった時に減光が起きる。
>
> と言うことなのですね。何となく分かってきたような感じです。


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