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[vsnet-j 2419] Re: rho Cas 2000



 加藤様
 コメントありがとうございます。

>  酸化チタン (TiO) というと固体を想像されるかも知れませんが、地球大気中の
>  CO2 のような分子です。普通高温の恒星大気中では分子はほとんど形成されま
>  せんが、M型星ぐらいの低温になると、分子が形成されるようになります。
>  分子はある波長域の光をよく吸収しますので(例えばよく知られているように
>  CO2 で赤外線など)、その領域の光がほとんど出て来なくなります。TiO では、
>  可視光に顕著な吸収バンドが見られるので、例えばミラ型では温度変化から想像
>  される以上に可視光が暗くなる原因になります。

 どうも減光されると言うと、かんむりRみたいにススのような物が吹き出してきて
それで見えなくなっていくというイメージがありました。ススのような物があらゆる
波
長の光を遮ってしまうと言うのではなくて、分子が可視光だけを吸収してしまうと言
うことなのですね。
 ミラキャンペーンのミラ観測ハンドブックではミラから酸化チタンの黒い煙が吹き
出してしまって、それでミラが雲隠れするような絵を描いてしまいましたが、少し修
正しないといけないかもしれませんね。

 ところで、rho Casと言えば以前に何か読んだような気がするなと思っていたので
すが、SKY AND TELESCOPE 3月号の「Eyewitness to Stellar Evolution」に恒星の
末期の状態としてrho Casが載っていました。そこには1945年にそれまでの7000度
から3000度に表面温度が低下して、ガスを吹き出して減光した。この現象はきっと
また起こるだろう、と言ったことが書いてありました。こうした予想まで書いてある
と
すごいなと思ってしまいます。しかしSKY AND TELESCOPEではこうした恒星進化や
変光星の話がずいぶんくわしく載っています。それに比べると日本の天文雑誌は
まだまだだなと思わされます。日本の天文雑誌でもこれからはこうした話がどんどん
載るようにしていかないといけないですね。

 ところでrho Casは変光星の型としてはSRdとなっていますが、今回の現象などを
見るとSDORと思った方がいいのでしょうね。

                                      
    高橋 進

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