MISAOプロジェクトの吉田誠一です。 京都大学チームの画像の検査で、新たな問題が発生しています。この現象の原 因や、他の夜の画像でも発生し得るかどうか等、もしお分かりになれば、教え て頂ければと思います。 20010412の画像について、これまで通り、まずは何枚かを選び、普通に検査し て、その結果を基にすべての画像のだいたい正確な中心座標を、時間差から計 算して求めて、それを使ってすべての画像を検査する、という方法を採りまし た。ところが、今回はほとんどの画像で失敗しました。 調べてみると、一連の画像の中に、中心の赤経が時間差から計算される値と大 きくずれているものがあることが分かりました。 具体的には次の通りです。 まず、survey1.001 を普通に検査し、正確な中心の赤経を求めました。その結 果を使って、時間差から計算した赤経で検査すると、survey1.037 までは検査 に成功しましたが、その後は検査に失敗してしまいました。 そこで、全画像について普通にマッチングも行う方法で検査してみると、こう なっていました。 survey1.001から 画像 計算される赤経 真の赤経 ずれ 〜survey1.037 0.0s survey1.057 9h37m10s.4 9h37m22s.1 +11.7s survey1.101 9h41m18s.1 9h41m30s.4 +12.3s survey2.061 11h26m35s.4 11h26m39s.2 + 3.8s survey1.037〜057の間で、カメラに触ってしまった等、構図のずれが発生した のかとも思い、画像を見てみましたが、一見するときちんと固定撮影されてい て、日周運動で星が少しずつ移動しているようにしか見えませんでした。 カメラや三脚の固定がごくわずかに緩くなっていて、撮影中に少しずつずれて しまっているのでしょうか? とはいえ、どうも赤緯方向のずれや、回転のず れは発生していないようです。少なくとも、PIXYが検査に失敗するほど大きな ずれが生じているのは、見た範囲では赤経だけでした。 さて、これまでに検査した画像も、20010404では95%成功しましたが、他の夜 の画像では70%前後となっています。この中には、20010402のように星が写っ ていないものもありますが、そうでないものも多いです。しかも、検査に失敗 している画像は、ある程度かたまっています(例えば survey4.700〜800、な ど)。もしかしたら、今回の 20010412 ほどではなかったにせよ、赤経のずれ があったことが原因で、検査に失敗していたのかもしれません。 -- 吉田 誠一 / Seiichi Yoshida comet@aerith.net http://vsnet.aerith.net/index-j.html