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[vsnet-j 241] Re: CCD vs visual observations
- Date: Sat, 18 Nov 2000 19:47:36 +0900 (JST)
- To: vsnet-j
- From: Taichi Kato <tkato>
- Subject: [vsnet-j 241] Re: CCD vs visual observations
- Sender: owner-vsnet-j@kusastro.kyoto-u.ac.jp
Re: [vsnet-j 240] Re: CCD vs visual observations
(1) 10年後には眼視観測はいらなくなる
> 私もこのような危機感は持っていますが、考えてみれば
> それは結果を発表したいという人の考えではないかと思います。
> 私も以前、お話したCCD観測は数年内にまとめたい、トンボ計画
> が実際に動けば終わりだなぁ、と思いながらも、こんなマイナーな
> 変光星はトンボ計画であつかってくれるのかなぁという思いもあります。
この視点は AAVSO discussion でも出ていました。CCDはすごい、自動サーベイ
はすごいと言うけど、「観測を要するミラ型」が毎月たくさんリストされている
のに誰もやってないじゃないか? という感じでした。
多分こういう話は、「相手がやってくれる」のを待っていても、多分マーナーな
変光星を自動的にやってくれる、とも思えないので、変光星のデータを欲しい側
が積極的にアプローチをするのがよいのだろうと思います。もちろんそれを要求
するためには相当のパワーが必要なので、おいそれととは行かないと思いますが、
変光星からアプローチしなければ、貴重なデータが解析済みになって捨てられて
ゆく可能性もあるでしょう。こういうところで力を発揮できるのは(実際に動く
人は個人であったとしても)、やっぱり会の組織力みたいなものは軽視できませ
ん。TASS と AAVSO の関係はちょうど逆だったのだと推察しますが、AAVSO が自
動データにあまり興味を示さなかった、とか眼視観測と同列に扱うのは時期尚早
とかの話になって、TASS側の消極的な見解を生んだのではないかと想像します。
(もちろん、このような自動観測を受け入れることで、従来型の観測の活躍でき
る場が狭まる、ということを考慮しての上なのでしょうが)。
多分日本で動いているようなプロジェクトでは、変光星観測者側からアプローチ
しなければ変光星データが黙っていても自動的にやってくるわけではないだろう
から、黙っておけば当面従来型の観測は安泰。でも科学的には自分たちの欲しい
データを捨てることになる、という状況なんでしょうか。
(2) CCD観測は孤独!
> 眼視観測からCCD観測に切り替えてから、心のゆとりはなくなりました。
> 自分しか観測していないのだから、自分が観測しなくてはという思いが
> とても強くなります。
まったくもってその通りです。現在のところ、CCD観測は研究的側面が強く、
研究対象が観測者に強く依存しているので代わりがきかないわけですね。
#これはCCDに限った話ではなく、眼視観測でも「自分だけの星」があると
#やっぱり同じですね。
CCDをもっと普通の星、あるいは広い星野に向けてやれるほどになってくる
と、もしかすると少しは様子が違ってくるのかも知れません。
(MISAO project は最初から多くの人の共同参加を目指しているところは、この
辺を先取りしていますね)。
(4) 眼視観測はすごい!
> 強烈な印象は眼視観測でこそ得られるものかと思います。
> でも、なんと言われようと、変光星は素敵なんです。これは原点です。
> 人間に感動を与え、それをエネルギーに転化させるものを眼視観測は
> もっていると思います。
変光星に興味を持った方の感想なので、多少はバイアスがかかっているかも知
れませんね。でも眼視観測で強烈な印象を受ける方がおられるのはこれからも
ずっとそうだろうと思います(逆に実際見てもそれほどでもない方も同様にお
られるかも)。しかし鑑賞用に撮っていた画像に、ある日突然「新星?」を発
見し、正体は何だろうと鮮烈な印象を受ける方も、これからは増えてくるだろ
うと思います。そういう時にぱっと「変光星のグループ」を思い付いていただ
けるような工夫は必要なのかも知れません。
(5) お互いの立場
> 実際、加藤さんはその立場で激変星の増光監視という面で眼視観測の
> 必要性を強調されていました。昨年のぐんま天文台の植村さんのV4648 Sgr
> の発表では、渡辺努さんの観測を高く評価されていました。眼視観測の
> 科学的業績を世界にむけて強調した面で私は加藤さんを高く評価しています。
実際に発表原稿を作成したのは植村さんですから、直接ではありませんが、こう
いう形で評価していただけることは嬉しいことです。しかしながら、これだけで
もいけないと思っています。プロの立場から、科学的成果につながったアマチュ
アの観測を評価する自身ことは、それぞれの観測を把握してさえいれば比較的簡
単なのです(が、なかなか思うようにはできないものですが・・)。しかしなが
ら、これだけでは「プロの目に叶う」観測(プロの目は往々にして流行に左右さ
れがちです)ばかりが評価されて、(評価されたいために観測しているわけでは
ないでしょうが)例えば特定分野ばかりが日の目をみたり、その驚くべき観測の
前にどのような努力がなされていたのかがおろそかにされたり、あるいは流行に
左右されすぎてしまうおそれがあります。天体発見を狙ったり流行を追うこと自
身それだけで楽しいことだと思いますが、それだけで終わってしまったのでは、
他の楽しみやそれ以外の科学的成果をみすみす捨ててしまうことにもなるかも知
れません。多分、変光星に長く関って来られている方は、それ以外の楽しみも十
分熟知して、その上でこういう特別な分野に時々参加する楽しみもご存じだろう
と思いますが、天文全般、あるいはこれからこの分野に参加しようとする人に対
する情報としてはちょっとバランスが悪いですね。もう少し何とかならないもの
かと思いますが、世間で評価を浴びると一層その分野に興味を持つ人が増える現
状では、なかなか難しいことかも知れません。海外では、こういう面白い成果に
つながったような事例があると、発見に関ったアマチュア自身が雑誌に記事を出
して、それまでの活動の歴史や普段の観測の様子などを紹介されることがまれで
はありませんが、日本では新天体発見の割と画一的な(と言ったらおこられそう
ですが)報道を除いて、なるほど、と思わせる紹介記事はめったにみかけません
ね。新星でも、CI Aqlなんかすごいドラマがあったと思いますが、雑誌ではほと
んど取り上げられてなくてちょっと残念でした。
> なお、私は天文雑誌を今、執筆しています。そのあたりのコメントが
> ありましたが、意見を頂けるのでしたら、大変幸いです。
> ただ、それに応えることができるかどうかは保証できませんので、
> あらかじめご了承願います。
多分一つ前の投稿だと思いますが、渡辺さんの記事には新しい工夫が感じられて
期待しております。実名を出してよければ、個人的には(ずっと昔になりますが)
石原さんの記事には科学面からはだいぶ感化を受けました。平沢さんの記事も目
的の変光星それ自身以外の内容が豊富で、変光星観測がどんなものか読むだけで
イメージできたのを覚えています。
tkato
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