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[vsolj-alert 826] Re: GRB alert messages
- Date: Wed, 8 Nov 2000 22:49:22 +0900 (JST)
- To: vsnet-j@kusastro.kyoto-u.ac.jp, vsolj-alert@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp
- From: Atsumasa Yoshida <ayoshida@crab.riken.go.jp>
- Subject: [vsolj-alert 826] Re: GRB alert messages
- In-Reply-To: <200011081021.TAA29858@ceres.kusastro.kyoto-u.ac.jp>
- References: <200011081021.TAA29858@ceres.kusastro.kyoto-u.ac.jp>
- Sender: owner-vsolj-alert@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp
Taichi Kato writes:
> GRB alert messages
>
> HETE-2 も打ち上げに成功し、眼視観測(!?)の可能性、はともかくとしても、など
> いろいろと期待されていたGRBの速報が即時に入る時期をまもなく迎えるように
> なります。これまでVSOLJ MLsではGRB情報のうち、特にBeppoSAXによって捉えら
> れたものなどを vsolj-alert で通報してきましたが、HETE-2 によって格段に早
> い時期に通報が行われるようになると思われますので、これまでのように人手で
> vsolj-alert に送信するのをやめ、VSOLJ MLs へのGRB速報は vsnet-grb に一本
> 化することにしました。
吉田篤正@理研です.
何か,呼ばれたような気がしましたので… 出てきました :-)
本当は,もっと早い機会にHETE-2の打ち上げについてアナウンスするべきでし
たが,衛星/観測器のお世話の方に時間がとられ遅くなってしまいました.
HETE-2チームとしましては,多くの観測者のGRB追観測への参加を期待してい
ます.とくに,東アジアは『手薄』な地域となっていますので,われわれとし
ましては,是非日本の方々に頑張っていただきたいと思っております.理研で
はシンガポールとパラオに副地上局を設置しており,東アジアが夜の時間帯に
HETE-2の情報が有効利用されることを希望しています.
下に簡単なHETE-2計画の説明と現状についての文章を添付します.(まもなく,
物理学会誌に掲載される文章と似ているかも知れませんが,お許しください :-)
.
/| ___/___ ______ 吉田篤正 e-mail: ayoshida@postman.riken.go.jp
/-| __/__ / / / 和光市広沢2-1 理化学研究所 宇宙放射線研究室
_____ /--/--/ tel 048-467-9446/048-462-111 (内線 3223)
/____/ /__/__/ fax 048-462-4640 〒351-0198
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HETE-2衛星打ち上げ成功
理化学研究所 吉田篤正
HETE-2衛星は2000年10月9日14時38分(日本時間)に, ロッキードL1011(トラ
イスター)から射出されたペガサスロケットによって,マーシャル諸島共和国
洋上から無事打ち上げられた. HETE-2とはHigh Energy Transient Explorer2
(高エネルギートランンジェント天体探査衛星・2号機)の略称で, 現在目覚ま
しい研究の進展を見せつつある, 宇宙γ線バーストを主な観測対象とする小型
天文衛星である.
(I) γ線バースト
γ線バーストは,宇宙の一点から突然多量のγ線・X線が数秒から数10の短期
間,爆発的に放射される天体現象である.1960年代末から1970年代初頭にかけ
て,アメリカの核実験監視衛星Velaによって発見された.爾来,数多くの観測
が行われてきたが,長らくその起源が太陽系近傍なのか宇宙論的遠方なのかす
ら謎であった.
1997年にイタリア-オランダのBeppoSAX衛星が,γ線バーストにともなう,
減光する微弱なX線残光天体を発見したことを契機に,この現象の研究が飛躍
的に進展することになった.ケック望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡などは,可視
光領域でも残光天体の詳細な観測をおこない,バーストの母銀河と思われる遠
方銀河の確認,大きく赤方偏移した分光スペクトルの観測など,衝撃的な観測
結果を次々に発表した.現在までに,10例以上の可視光でも輝く残光天体が発
見され,詳細な分光観測の結果,γ線バーストは数10億光年以上も遠方の宇宙
で発生する大爆発であることが確立されてきた.
しかし,そうなると,典型的なγ線バーストが放出するエネルギーは,超新
星爆発を2-3桁も上回る巨大なものとなる.このような膨大なエネルギーを解
放しうるシナリオとして,連星中性子星(あるいは中性子星-ブラックホール連
星系)の合体,巨大質量星の重力崩壊,という2系統のモデルが現在有力視され
ているが,いまなお確定的な証拠は得られていない.また,1999年1月23日に
起きたバーストでは,実に9等にも達する可視光フラッシュがγ線バースト中
に発見され,世界中の研究者を驚かせた.γ線バーストは現在でもなお『謎の
大爆発』であり,観測例を増やすことが急務である.
(II) HETE計画
「2号機」を表す文字が示すように,HETE-2は打ち上げに失敗した HETE衛星
を再製作したものである.
γ線バーストの謎の解明には,対応天体を間違いなく同定できる精度で,バー
スト源の位置を決定することが鍵である.HETE計画は,広視野を監視し,いっ
たんγ線バーストを検出すれば,その位置を正確に決定し,即座に地上の観測
者に通報する小型天文衛星,というコンセプトで最初は1983年に提案された.
この計画は1991年から日米仏の国際協力で進められ(日本からは理化学研究所
と宮崎大学工学部が参加),1996年11月に打ち上げに漕ぎつけたが,ロケット
の不具合により衛星は失われ,また,残光の発見も他の衛星に譲る結果になっ
た.しかしHETE計画の先見性・重要性は,残光発見により再認識されることに
なり,日米仏政府の支援によりHETE-2計画として再出発し,4年で衛星・観測
器の再製作と地上局の設置を完了し,10月9日に打ち上げに成功した.
1号機とは異なり,HETE-2衛星は赤道軌道に投入された.軌道傾斜角1.95度,
近地点590km,遠地点650kmの軌道である.赤道軌道は,放射線帯が高度500km
以下まで落ち込んでいる,いわゆる南大西洋地磁気異常地帯(SAA)を避けるこ
とができ,有効観測時間が長く取れ,検出器の放射線損傷も軽減できる,とい
う利点がある.しかし,地上局は赤道付近の遠隔地に設置し直す必要があった.
日米仏が担当する主地上局は,それぞれシンガポール,マーシャル諸島クウェ
ジェリン環礁,仏領ギアナ・カイエンヌに移設された.
(III) γ線バースト残光観測を飛躍的に向上させるHETE-2衛星
搭載観測器は3種類である.γ線バーストについて感度の高いγ線分光器
(FREGATE: フランス宇宙線研究所が担当),10分角程度の位置決定能力を有す
る広視野X線モニター(WXM: 検出器・電子回路を理研が担当,符号化マスクを
アメリカ・ロスアラモス研究所が担当).そしてHETE-2になって新たに搭載さ
れた軟X線カメラ(SXC:アメリカMIT担当)である.WXMはバースト位置決定の中
心となる観測器であり,特に明るいバーストについては,SXCで10秒角程度ま
で精度を改善することができる.機上で算出されたバーストの位置は,赤道に
沿って隙間なく設置された12局の副地上局に向けて常時放送される.この位置
情報は,さらにインターネットを通じて地上の諸観測施設に,バースト発生後
10秒程度で配信される.これにより,今まで不可能であったバースト直後の残
光天体の観測が可能となる.年間50個程度のバーストについて約10分角精度の
位置情報が,そのうち明るい16個程度では,10秒角以下のバースト位置がほぼ
リアルタイムで地上観測者に通知できると試算される.
(IV) 衛星の初期運用と今後の予定
打ち上げ以降、HETE-2衛星は順調に運用されている.軌道投入6時間後には
太陽電池パネルが展開され,反太陽方向を指向する姿勢制御モードに移行した.
現在, GPS受信装置による軌道測位,姿勢制御用可視光カメラの調整,詳細な
姿勢制御運用試験が行われている.観測機器は,まず10月16日にFREGATEの電
源が投入され,軌道上での荷電粒子によるバックグラウンドは期待通りかなり
小さく,SAA付近でも宇宙背景X線放射の半分以下であることが判明した.WXM
とSXCの初期動作試験は18日から開始され,軌道上でも正常に動作することが
確認された.荷電粒子に対して敏感なWXMは20日に一旦電源を落したが,姿勢
制御系の調整終了後11月中旬から再び機能試験,較正試験を実施する予定であ
る。この間,観測機器に損傷を及ぼす危険性のある獅子座流星群に備え,衛星
は安全な姿勢において待機するため,しばらく機能試験等を中断させるが,順
調にいけば、12月中には定常観測を開始したいと考えている.
HETE-2からのバースト位置情報に対し,HETEチームは何ら代償を求めること
をしない.出来るだけ多くの方々による追観測を期待している.
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