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[vsolj-alert 310] vsolj-news 016: SN IIn(?) 1999bw



                        VSOLJニュース  (015)

          特異なIIn型超新星(?)1999bw

                                         著者  :山岡 均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  水素の線スペクトルが観測されるII型超新星のうち、線の幅が狭いものを
IIn型と呼んでいます。線の幅は天体の膨張速度を反映したもので、幅が狭い
のは膨張が遅いことに対応します。この種の超新星は、一般に超新星界で最も
明るいとされるIa型と比べて、同じもしくはそれよりも明るいような例(1999E
など)もある一方で、それよりも6等以上暗いようなものもあります。とはいえ、
古典的な新星と比べると100倍ほども明るいので、新星現象とは違います。

  4月中旬にLick天文台の超新星捜索チームが発見した超新星1999bwは、この
暗い部類に入るもののようです。発見当初、超新星としてはあまりに暗いため
か、なかなか超新星としての符号が与えられませんでしたが、スペクトル観測
によって爆発・膨張していることがわかって、1999bwという名前が付きました。
超新星が出現した銀河は、おおぐま座にあるNGC 3198という棒渦巻銀河で、距
離は10Mpcほどとかなり近いものです。普通これくらいの距離に超新星が出現
すると、極大の頃にはIa型では11等、II型でも13等くらいになるのですが、こ
の超新星は発見後しばらく18等前後で推移していました。

  過去にも、SN 1961Vに代表される非常に暗い超新星がありました。古典的な
超新星カタログではV型として分類されていたものですが、最近では特異なIIn
型と呼ばれるようになっています。この種の天体の正体はまだわかっていませ
んが、非常に重い星が、進化の途中で表面を吹き飛ばす現象ではないか、との
説も提唱されています。進化の最終段階での爆発ではないとすると、超新星と
呼ぶべきかどうかも問題になるところです。

  4月末になって、北海道名寄市の佐野康男氏の観測では、この1999bwが17.6
等ほどまで明るくなっていることが示されています。特異な超新星の例として、
これからも注目される天体です。

							1999年5月4日

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