山岡@九大理 です。 またまたNGC galaxyに注目に値する超新星が発見されました。 IAUC 6858によると、北京天文台の超新星サーベイで、4月1.67UTに超新星が発 見されています。母銀河はNGC 4704というりょうけん座の渦巻銀河で、見た目 ほぼface onです。位置は、R.A. = 12h48m47s.24, Decl. = +41o55'28".3 (2000.0)で、母銀河の中心から2"東、12"北と報じられていますが、大宇陀観 測所で4月5日に撮影された画像や、下のスペクトルの報告に付随した位置の報 告では、もう少し(7-8"程度)東にあるようです。いずれにせよ、明瞭な光点に 見えるので、見間違えることはないでしょう。 4月4.4日にスペクトルが撮影され、このSN 1998abが、特異なIa型超新星であ るSN 1991Tの極大前の見え方に似ていることがわかっています。SN 1991Tは、 Ia型超新星の特徴であるケイ素の吸収線が弱く、鉄やカルシウムの吸収ばかり 強く見えていました。そして、通常のIa型超新星より0.5-1等程度明るかった ことが注目されました。SN 1998abの現在の明るさは、4月1.67日UTで16.1等 (多分フィルターなしのCCD等級)、4月4.4日UTでB=16.6、V=16.4です。 1998abの母銀河であるNGC 4704は、後退速度8100km/s程度なので、ハッブル流 に乗っているとすると距離はかみのけ座銀河団より遠く、おとめ座銀河団の8 倍ほど後方です。典型的なIa型超新星だと、極大等級は16.5等程度なのですが、 すでにそれより明るく見えているようで、特異なものである可能性は高いと思 われます。もちろん距離の見積もりが悪いのかもしれません。 15等より明るくなることはあまりないかもしれませんが、可能な方は注目され ると面白い天体だと思い、紹介させていただきます。 九州大学(六本松地区)理学部物理学教室 山岡 均 〒810-8560 福岡市中央区六本松4-2-1 yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp