すでにvsnet-alert, NIFTYで英文速報が出ていますが、増光の非常にまれなSU UMa 型矮新星 EF Peg が2年10か月ぶりぐらいにアウトバーストしています。 以前の「変光星めぐり」の情報によれば、 EF Peg UG(SU) 10.7-18p 話題の星であるが、増光が来ないので疑惑の星でもある。合成光度で時々平常よ り明るく観測される(ある1名のデータだが)が、二重星に分離できたことはなく、 一般には信用されていない。罪滅ぼしに X Pegや R Equを観測しておくと喜ばれる であろう。 АЦによる増光時のデータは以下の通り。 JD mpg 2436070.428 13.30 36071.443 11.40 36072.390 12.05 36074.451 13.86: 37904.442 14.26: 37905.510 13.70 37906.439 10.68 37908.416 11.10 37909.416 11.22 37910.400 11.31 37911.397 11.58 37912.396 11.46 37931.305 14.14: 38861.334 14.11 38864.313 13.78: 38865.301 13.74: 38869.306 11.16 38870.252 14.05 これをみるとやはり写真で観測すべきかな?という気もします。(PO0なんか付 けない方が増光がつかまるかも) --- とかありましたが、VSOLJで盛んにモニターされていた時期は運悪く増光が なく、眼視観測による最初の増光発見は1991年10月、Schmeerによるものでした。 このスーパーアウトバーストに際して、京大の加藤・高田は10/18に変光範囲0.14 等のスーパーハンプを検出し、SU UMa型であることが確定しています(IAUC 5371)。 さらに注目すべきこととして、この際に振幅0.1等弱のQPO(準周期振動) 現象が観測されました。しかも通常のQPOとは異なって、2時間の間に周期が 18分から7分に急激に減衰することが観測され、このQPO(super-QPO)の起 源として降着円盤の振動の変化としてよりも、降着円盤中に何らかの「かたまり」 ができて、それが徐々に落下してゆく様子が観測されたのではないか、と解釈し ています。("Physics of Accretion Disks -- Advection, Radiation and Magnetic Fields", ed. S. Kato et al. 1996, Gordon and Breach Science Publ. pp. 99-104 収録) いずれにしても、EF Pegの現在の時期はこれらの観測が行わ れたフェーズに近く、同様の現象が観測できる可能性があると思います。 もしCCDないし光電測光で観測可能な方は、時間分解能を20sぐらい(または それ以上)で2時間以上の連続観測をするとよいでしょう。すぐ近くに使いやすい 比較星は多数あります。1991年のスーパーアウトバーストの時は近くを満月に近い 明るい月が通過したために条件は必ずしもよくありませんでしたが、今回は月もな く夕方から観測できる位置で、観測条件としても良好と思います。そばに12.5等ぐ らいの星がありますが、CCD・光電の場合は無理に分離せずに合成光度で測光す る方が(明るい時期は)精度が良いでしょう。 前回のスーパーアウトバーストは1995年1月で、すでに西に低く、観測はあまり行 われませんでした。 位置は 21h 15m 04s.2 +14o 03' 50" (J2000.0) 変光範囲 10.7-18.5 です。 tkato