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[vsnet-j 1299] On PDM
- Date: Tue, 5 Jun 2001 11:38:38 +0900 (JST)
- To: vsnet-j
- From: Taichi Kato <tkato>
- Subject: [vsnet-j 1299] On PDM
- Sender: owner-vsnet-j@kusastro.kyoto-u.ac.jp
On PDM
PDMの図の見方についての質問を受けました。多くの方が疑問を持たれていること
かも知れませんので、リストにて解説します。
PDM = Phase Dispersion Minimization
(1) PDM というのは、ある周期を仮定して、その周期でどの程度光度曲線のばらつき
が小さくなるか評価する方法です。グラフが下になるほどばらつきが小さい、
すなわちその周期が本物である可能性が高くなります。
(2) 仮定した周期を横軸に取りますが、横軸は生の周期(例えば日)であることも、
その逆数=周波数(1/日)であることもあります。Frequency と書いてあったら
後者で、周期に直すには逆数をとればよいです。
(3) グラフが下になるほど可能性が高い、というのが原則ですが、あくまで観測が
均一に分散している場合のことで、不均一に分散している場合(たとえば昼間や
地平線下の観測はない、など)には理想的でない結果になることもあります。
(4) (3) に関連しますが、観測間隔が D 日の場合、周波数でみて真の周期から
±N/D (Nは小さい正の整数) 離れたところにも信号がみられます。これを
alias と呼びます(サイドローブとも言います)。逆にいえば、真の周期に対し
て alias 信号がこのように現れていれば、解析はかなりうまく行っていること
が多いです。
(5) 1周期に2回の極小があるような系(たとえば副極小の深い食連星など)
では、真の周期の半分のところにも強いシグナルが出ます。
(6) 縦軸 (theta) は 1 が無信号で、信号が強いほど小さくなりますが、値の
大きさだけで信号の有無を判断するのは危険です。観測点数が十分に多ければ
1 に近い theta でも有意な信号になることもありますし、観測点数が少ない
場合は theta が小さくても有意でないことがあります。周期性の判定には、
もうちょっと詳しい解析と、観測データの吟味方法、その種の天体の解析方法
についての多少の経験が必要になることが多いです。