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[vsnet-j 1299] On PDM



On PDM

 PDMの図の見方についての質問を受けました。多くの方が疑問を持たれていること
 かも知れませんので、リストにて解説します。

 PDM = Phase Dispersion Minimization

 (1) PDM というのは、ある周期を仮定して、その周期でどの程度光度曲線のばらつき
 が小さくなるか評価する方法です。グラフが下になるほどばらつきが小さい、
 すなわちその周期が本物である可能性が高くなります。

 (2) 仮定した周期を横軸に取りますが、横軸は生の周期(例えば日)であることも、
 その逆数=周波数(1/日)であることもあります。Frequency と書いてあったら
 後者で、周期に直すには逆数をとればよいです。

 (3) グラフが下になるほど可能性が高い、というのが原則ですが、あくまで観測が
 均一に分散している場合のことで、不均一に分散している場合(たとえば昼間や
 地平線下の観測はない、など)には理想的でない結果になることもあります。

 (4) (3) に関連しますが、観測間隔が D 日の場合、周波数でみて真の周期から
 ±N/D (Nは小さい正の整数) 離れたところにも信号がみられます。これを
 alias と呼びます(サイドローブとも言います)。逆にいえば、真の周期に対し
 て alias 信号がこのように現れていれば、解析はかなりうまく行っていること
 が多いです。

 (5) 1周期に2回の極小があるような系(たとえば副極小の深い食連星など)
 では、真の周期の半分のところにも強いシグナルが出ます。

 (6) 縦軸 (theta) は 1 が無信号で、信号が強いほど小さくなりますが、値の
 大きさだけで信号の有無を判断するのは危険です。観測点数が十分に多ければ
 1 に近い theta でも有意な信号になることもありますし、観測点数が少ない
 場合は theta が小さくても有意でないことがあります。周期性の判定には、
 もうちょっと詳しい解析と、観測データの吟味方法、その種の天体の解析方法
 についての多少の経験が必要になることが多いです。