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[vsnet-j 2125] Re: S Per
- Date: Wed, 05 Jun 2002 17:36:43 +0900
- To: vsnet-j@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp
- From: Toshihito Ishida <ishida@nhao.go.jp>
- Subject: [vsnet-j 2125] Re: S Per
- In-Reply-To: <200206050744.QAA29067@pallas.kusastro.kyoto-u.ac.jp>
- References: <200206050744.QAA29067@pallas.kusastro.kyoto-u.ac.jp>
- Sender: owner-vsnet-j@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp
Vsnet-J の みなさま
石田 @ 西はりま $ 召喚しました? です。
加藤 さん wrote in the message received on Wed, 5 Jun 2002 16:44
Subject: [vsnet-j 2124] Re: S Per
>
> > ところで、この星は、実はほとんど重なった位置に、何か別の新しい星が現わ
> > れていて、S Per はそれと合成されてしまい、変光しなくなったように見える、
> > という可能性があるかもしれません。
>
> 平均光度はあまり変わっていないみたいだから、さすがにこの可能性はないかな。
>
> > ペルセウス座のS星は、2000年の始め頃までは、9等から13等の間を周期的に変
> > 光する、ふつうのミラ型だったのですが、
>
> というよりも、1990年代後半が異常に活動的で「典型的ミラ型」になってしまっ
> たようです。VSOLJ light curve あたりがわかりやすいでしょうか。
>
> #石田さんあたりから理屈の方の説明をいただけないかと・・(^^;
この話題、先日から興味深く読んでいたのですが、個別の現象について
すべて理屈をつけるだけの状況にはまだなっていないような気が・・・。
脈動理論の方としては、フルに発達した脈動と対流の相互作用をどのよ
うに取り扱うかということについて、多くの人が納得するようなものが
まだないということで、はっきりしたことを言いがたい状況です。
いちおうこういった種類の脈動変光星の論文も少しづつ読んでいるんで
すが、まだ全体に錯綜している感じで、まだ大事な論文をたくらん読み
落としているんじゃないかという気がして仕方がありません。まぁ、ほ
んとうにまだ十分には読んでいないんですが。
それで、別のメイリングリストで話題に出ていましたが、先日仙台で、
脈動星とその周辺での質量放出に関する国際研究会がありまして、そこ
での話では、
・ミラ型を含む赤色変光星には、周期−赤外光度図上で、5つの系列が
ある。もう一つ系列のようなものがあるが、おそらく周期の長い激変
星かとの示唆あり。最も大振幅で規則的な系列が、最も数が多く、お
そらく典型的なミラ型はこれか。近傍のミラ型はこれを含む2つの系
列のいずれかに属していることがわかっている。
・どの系列が、どのような脈動(あるいは脈動以外の変光)と結び付い
ているかは、まだ議論が収束していないところがある。
・ある系列から別の系列に移動することがある。MACHO 探しの副産物と
して得られている大マゼラン銀河の赤色変光星のデータで、そういう
実例がある。
ということで、系列の間を移動するときに、何か今回のようなことが起
こるのかもしれません。
できれば、この星については赤外の測光と、距離の推定があって、上記
のどの系列に属していたかがわかり、MACHO 探しのデータの中に、同様
の現象がなかったか探してみると、何か興味深いことがわかるかもしれ
ません。
あまりはっきりしたことを書けなくて申し訳ありません。
---
% 石田 俊人 e-mail: ishida@nhao.go.jp
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