vsolj-news 085: SN 2002bl in UGC 5499: the fifth hypernova VSOLJ ニュース (085) 5例目の極超新星が発見される 著者 :山岡 均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp 極超新星は、スペクトルに水素やヘリウムが見られず、膨張ガスの運動速度 が非常に大きいことが特徴で、通常の超新星よりもさらに重い星の爆発と考え られている稀な現象です。VSOLJニュース(083)で、神奈川県の広瀬さんが発見 された超新星2002apが極超新星であったことをお伝えしましたが、それからわ ずか1か月で、新たな極超新星が発見されました。確かに知られている極超新 星(水素がなく高速膨張を示すもの)はこれで5例目です。 この天体を発見されたのは、英国のアマチュアの新星/超新星探索グループ の一員で、これまでにも多数の超新星を発見されているMike Armstrongさんで す。天体は超新星2002blと命名されています。発見は3月2.901日(世界時、以 下同)で、その後5.879日、7.059日に確認されており、いずれの時も明るさは 17.0等であったと報告されています。2月14日撮影の画像ではこの位置に天体 はなかったということです。新天体の位置は、赤経10時12分17.28秒、赤緯+27 度51分52.4秒(2000年分点)で、母銀河UGC 5499の中心核の北9秒角、西5秒角ほ どにあたります。UGC 5499は、しし座とこじし座の境界付近にあるやや傾きの 大きい棒渦巻銀河(SBb:)で、新天体は銀河の円盤部に重なって見えます。ハワ イのKeck望遠鏡で7日にスペクトルが撮影され、この天体がこれまでに知られ ている極超新星と非常に似通っていることが報告されています。膨張速度は 17000 km/sと求められました。 母銀河の後退速度は4753 km/sで、これは以前の極超新星1998eyの母銀河NGC 7080(4839 km/s)とほぼ同じです。超新星1998eyの極大の明るさは16.8等ほど でしたが、今回の超新星2002blはほぼそれと同じ明るさでの発見です。今後の 明るさやスペクトルの変化がたいへん注目されます。 参照文献:IAUC 7845 (2002 Mar. 7) 2002年 3月 8日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJの速報メーリングリスト vsolj-alert にご加入いただくと便利で す。また、これらの天体についての科学的議論のためのメーリングリスト vsolj-sci もご利用いただけます。購読・参加お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。