[Message Prev][Message Next][Thread Prev][Thread Next][Message Index][Thread Index]
[vsnet-j 977] Re: pixel lensing survey
- Date: Thu, 29 Mar 2001 19:49:45 +0900 (JST)
- To: vsnet-j
- From: Taichi Kato <tkato>
- Subject: [vsnet-j 977] Re: pixel lensing survey
- Sender: owner-vsnet-j@kusastro.kyoto-u.ac.jp
Re: pixel lensing survey
> この方法では 1 pixel = 10" とのことです。同じ方法が適用できるならば、
> 新星がマイクロレンジングより5等ぐらい明るいとすると、超広角レンズ相当で
> (しかも少しぼかして)銀河面を一気に撮るだけで新星サーベイができちゃった
> りして??
ちょっと見積もってみました。1 pixel = 10' という呆れるような数字にしてみ
ると、90゜四方の領域は 540x540 pixel という、ごく普通のCCDでカバーでき
てしまいます。一度に見える視野が180゜を超えないことを考えると、おそらく
十分すぎる画角でしょう。
そうすると、「明るくなったピクセル」を検出するだけで(ピクセル数も少ない
ので計算も簡単そう)、新星の検出と位置精度 +/- 5' でどこに新天体があるか
の判定が可能になる計算になります。位置精度は肉眼発見ぐらいの精度は得られ
るでしょうか。
次は限界等級の方ですが、1ピクセルに含まれる背景星野の明るさが一つの目安
になるでしょう(明るさの全部がノイズになるわけではありませんが、背景に比
べてどの程度明るくなったら検出、としておけばその敷居値になります)。理科
年表によれば銀河面でmpg=15等の星が1200個/平方度だそうで、10x10' では40個
ぐらいでしょうか。とすると、背景光は写真等級で11等/ピクセルになります。
色指数が+1ぐらいとすれば10等/ピクセル、というところでしょうか。「背景の
明るさが倍になれば検出」とするだけでも10等の新星が検出できる計算になりま
す。実際にはCCDの測光精度はもっとよいので、さらに暗い天体でも検出可能
でしょう。測光精度等は劣る(星野の記録としてはあまり正確な情報は望めない)
と思われますが、発見のための手段と割り切って、怪しいピクセルのみを焦点距
離の長いカメラで撮影すれば、広視野サーベイが一気にできてしまうかも知れま
せん。
ピクセル内に入る星を正確に制御できれば(たとえば1'ぐらいの精度で位置合せ
ができれば)、背景に対して相当暗い天体でも検出できると思われます。毎回同
じ方向を撮るのであれば、カメラを完全に固定してしまえばよさそうですね。
もしそうでなく、毎回位置がずれている状況を想定すれば、背景星野の輝度のば
らつきが検出限界を決めることになるでしょう。
tkato
Return to Daisaku Nogami
vsnet-adm@kusastro.kyoto-u.ac.jp