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[vsnet-j 866] Re: Photometry
- Date: Mon, 5 Mar 2001 21:37:13 +0900 (JST)
- To: vsnet-j
- From: Taichi Kato <tkato>
- Subject: [vsnet-j 866] Re: Photometry
- Sender: owner-vsnet-j@kusastro.kyoto-u.ac.jp
Re: [vsnet-j 857] Re: Photometry
> 標準システムの場合だけでなく、Henden の式を使ってノーフィルターCCD画像
> について測定する場合も、この前提が無いと、そもそもこの方法を採ることは
> できません。
ではないのです。色指数の一次式で近似できないような標準からかけ離れたシス
テムでも、そのシステム固有の光度体系は定義できるのです。その場合は、ゼロ
点を決めるために赤化を受けていない A0V 型だけの星を使うなど、より厳密な
システム構築が必要になりますが。その体系に則って光度を表記する限り、十分
厳密な光度を使うことができます。
つまり、
・システム固有の光度体系を定義できる ことと
・その体系が既存体系から簡単な式で変換できる
ことは、必ずしも等価でないのです。V + k(B-V) では表現できない検出器の場
合もあるでしょうが、そのような検出器に対しても固有の体系は定義できて、
それば、場合によっては他の式(Rc + k(V-Rc) など)がよりよい近似を与える
こともあるし、まったく既存体系では表せないこともある、ということです。
> 私の方では、比較星カタログ中のデータという多数を相手にして考えているの
> で、この近似式が成り立っているのですが、これを任意の1個の星に適用して
> はいけない、というのが、加藤さんの心配だと思います。が、この点について
> は、この式が「近似式」と書いてあることと、後の章で、
一番の心配は、「式」を与えることで、その式が独り歩きしてしまうことが往々
にしてあることです。恒等式は変形することも可能で、他の式と組み合わせると、
一見してその式を見ただけではどのように変形されたかわからないにもかかわら
ず、その式には物理的意味がまったくない、ということすら起こり得るのです。
すなわち、この式が挙げてある場合には、それは「限られた範囲で近似的に成り
立つ」ことを正確に示すとともに、「その式をそれ以外の形に変形して使わない」
という程度の注意書きが必要かと思います。
> カタログに載っている比較星の大部分は色が極端なものではない、という前提
> を無くすと、そもそもの目的である測光のおおざっぱな原理が、却って分かり
> にくくなってしまいます。例えば、ノーフィルターCCD画像の場合は測光はで
> きない、という結論になってしまいます。
「標準システムでの測光はできない」が正しいでしょうね。どのように式変形
しようとも、その画像だけの情報からは標準システムに変換する一般的方法は
ない。一方でそのシステム固有の体系での測光はできる。そのシステムでのゼ
ロ点を決めるために、標準システムのゼロ点(すなわち星表)を用いて、多少
の注意を払って近似的に行うことは通常の精度を要求する範囲で可能である、
ぐらいでしょうか。
> 取り敢えずそれは置いておいて、加藤さんの書かれている測光の仕方が、良く
> 分かりません。これまでの一連のメールでは、2バンドで観測した場合の測定
> の仕方、は紹介されていなかったと思います。
> ・2バンドとは、VとBのような、標準準拠の2バンドの必要があるのか。任意
> の2バンドで良いのか。
適度に離れたバンドで、それぞれ標準システムに類似したバンドであれば、大抵
の場合は変換可能です。V に近い非標準バンド、B に近い非標準バンド、のよう
な組み合わせです。
#ノーフィルターCCDと適当にフィルターをかけたCCD、のような組み合わせ
#はよくありません。
> ・標準と厳密に違っても、Henden の式のような B-V の係数を求めて換算する
> だけではいけないのか。
この辺が多少誤解がありそうなのですが、その非標準のシステム固有の光度であ
れば、そんなに問題なく求まるでしょう。しかし、ひとたびそれを「標準システ
ム」で報告しようとすると、目的天体(および比較星)の色指数が必要になりま
す。それは一般には未知の量なので、それを別のバンドを使って観測で求めて変
換するのです。
> ・異なるフィルターの2枚の画像があれば、任意のシステムに換算できるのか。
最初と同じですが、異なるフィルターが、求めたいシステムの近傍にあることが
必要です。V近傍と B近傍の画像から、たとえば標準 Ic バンドなどを求めるの
は無理です。
> ・何で「標準フィルター」なのにそのまま標準システムとして扱えないのか。
標準システムを完全に同一に再現することは不可能だからです。標準Vフィル
ターを使ったとしても、k(B-V) の kでいえば、abs(k) < 0.1 ぐらいが普通。
しかし abs(k) < 0.01 にするのは困難です。
> これは、以前にテイラー展開云々と説明して頂いた件ですね。これは理解して
> いたのですが、取り敢えずPIXY 2ではB-Vの係数を求めてしまうこと、清田さ
> んの例からRcはB-Vに対する係数を求めて近似できること、により、こう説明
> しています。
あの式は非常に誤解を生むところがあるのですが、abs(k) > 0.5 のようなところ
では、ほとんど使えません。「単に数学的な回帰直線を求めただけである」もの
も含まれています。
> 今はVとBだけが載っている Tycho Catalogue しか使えないので、いかなるシ
> ステムもB-Vの係数として表現せざるを得ないのですが、
Hipparcos/Tycho には Ic-band の入っている星もあります。B,V だけで表現する
よりも、V と Ic の間に位置するバンドでは、V と Ic を使うのがベターです。
#Hipparcos/Tychoは光電測光時代にはぴったりと思いますが、CCDとのマッチング
#はちょっと劣るかも知れません。
> 将来他のシステムの光度をも持つカタログをサポートした時には、V-Rc, Rc-Ic等
> の選択肢を用意し、
最近の ADC のカタログ一覧をみていると、GSPC が UBVRI に拡張されたようで
すね。
tkato
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