[Message Prev][Message Next][Thread Prev][Thread Next][Message Index][Thread Index]

V795 Her



V795 Her      NLDQ           12.5-13.2B
 NLDQタイプで公転周期が特に長いものです。筆者のデータから暫定的なピリ
オドグラム解析をしてみましたが軌道周期・自転周期のいずれも出ませんでした。
(観測がいい加減なのか、変光が基本的にランダムなのか?) PG1711+336
として発見されたものです。PGサーベイによればスペクトルはHβとHγの輝線
のみが認められます。IBVS2438によるDQ Herとしての変光の要素式は以下
の通り。

  Min HJD = 2445527.283 + 0.115883 E

変光範囲は0.2等であった。

「変光星」1989.06
・V795 Her=PG1711+336 (Rosen et al. MNRAS 237,1037,1989)
 もともとは変光観測から2.8時間の周期性が発見され(Mironov et al. IBVS 2438,
1983; Baidak et al. IBVS 2676,1985)軌道周期だと考えられた。当然のことながら
当時もperiod gapとの関連で話題となった。そこでThorstensen (AJ 91,940,1986)
が視線速度の観測をしたところ14.8時間の軌道周期が求められた。そこでこの星は
DQ Her型で、2.8時間の周期性は白色矮星の自転によるものとみなされ、問題なしと
いうことになった。

 ところが最近になって視線速度の観測を再度行ってみたところ、2.8時間の周期の
方が確かであることがわかり、光度変化も同じ周期で起こっている。またEXOSATに
よる観測ではX線は検出されず、DQ Her型ではないのではないかと思われる。

 これで軌道周期2.8時間が確定したかと思って読んでいたが、どうも歯切れの悪い
論文である。accretion diskが楕円であるための周期かも知れないとかごちゃごちゃ
書いている。MNRASにはこのような論文が多く、ApJに比べて読後感にすっきりしな
いものがあるので、書いている人の国民性もあるのかな、と思ってデータをみると
彼らは3.3時間しか観測をしていないのである。これでは14.8時間周期を否定できる
はずはない。

 しかし引用文献によればShafterも視線速度の観測から同じ周期を求めているそう
で(Bull.AAS,19,1058,1987)たぶんこれは軌道周期なのでしょう。

 かつては period gap 近くの軌道周期を持つ星は時に質量移動率が減少すること
がある(その結果MV Lyr,TT Ariのように大減光を示す)と騒がれたことがあったが、
V795 HerについてはSonnebergプレート調査では著明な減光は認められなかったとの
報告がかつてMVSに出ていた。

「変光星」1990.06
・V795 Herはperiod gapのDQ Her型 (ApJ 354,708)
 変光周期 0.1164865日、視線速度変化周期 0.1082648日と求まった。この違いは
白色矮星の自転との間のうなりのためと推定しているが磁場・自転の証拠ははっき
りしない。