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DO Dra
DO Dra UG 10.6-15.1B
PGサーベイをおこなっていたGreen、Pattersonは独立してX線源
3A1148+719を15−16等のUG型のスペクトルを示す天体に同定した。
GCVSではそのすぐ近くにYY Draという食変光星が登録されていたのでそ
の天体はYY Draと呼ばれるようになった。またPattersonは光度変
化、視線速度変化から軌道周期を3.9hと求めている。Wenzelは
YY Draの食変光を調べるためSonnebergのパトロール写真1928−1982
年の2492枚を調査したところこの星がUG型の増光を示すことを発見した。そ
してGCVS登録の食変光を示す天体は付近には存在しなかった。
そして1984年67th Name ListにてDO Dra(UG)と命名
された。その後は眼視のモニターが行われるようになり、1985年10月増光が
ヨーロッパで観測された。(日本国内でこの増光をみた人はいなかった模様)
そしてHarvardのパトロール写真からさらにいくつかの増光が見いだされた。
(Hazen,IBVS 2880)
過去の増光の要約は以下のようになる。
JD(2400000+) mpg
28262.7 <12.2
28266.7 10.8:
28267.7 11.1
28273.7 <12.2
31498.7 <14.5
31499.7 <12.2
31504.7 10.0:
31505.8 10.8:
31506.7 11.2
31511.6 <12.2
31519.9 <13.7
33242.9 11.2
33279.8 <14.4
(IBVS 2880)
37761.4 <12.0
37764.4 10.0
37785.5 <12.0
40153.4 <12.5
40171.3 10.8
40173.3 13.0
40187.4 <13.8
40188.7 <14.4
42717.3 <13.5
42740.3 10.5
42750.4 <12.0
JD(2400000+) mpg
42756.4 <13.0
(MVS)
46364.3 <13.8
46367.3 10.5
46367.7 10.6
(IAUC 4130)
Sonnebergの場合、2175夜のうち増光写真があるのはわずか4夜で増光率
0.002となる。これは有名な星のうちではWZ Sge(0.001)に次い
で小さい。増光がまれなUGとして知られるT Leoでは同様の調査で20回以
上の増光が確認されており、DO Draの増光頻度の小ささを示している。そし
て特徴的なのは増光期間の短かさである。上記増光がいずれも数日以内に減光して
いる。そして1988年3月末になって増光があった。IAUCによれば増光は
3/30に起こった。その後の観測では3/30,3/31はほぼ一定光度10.3
で4/1 10.8 4/2 12.3 4/14 約14と急減光している。
「激変星カタログ」では前記Pattersonの観測よりUGSSと分類されて
いるが、こういう減光をみると多少疑問も生じてくる。軌道周期=3.9hという
とU GemやIP Peg位の周期であり、普通この周期の星は1日に1等も減
光しない。Pattersonの文献はAmerican Astronomical associationに発
表されたもので、グラフ・ピリオドグラムは示されていない。以前にもVY Aqr
やUU Aqlの軌道周期が誤って発表された例もあり、疑ってみても悪くないだ
ろう。というのはDO Draは明るい天体なのでその後軌道周期以外の物理量が
測定されていて、それらが何れもUGSUの領域に入っているからである。あるい
は極めて特殊なUGSSなのかも知れないが、UGSSという分類にとらわれて
supermaximumを見過ごしたりしないよう注意する必要がある。(VY Aqrでは
3回連続あったsupermaximumにおいて特別な観測は全く行われなかった)
DO Draはその気になれば周極星なので年中観測できる。極大は十分明るく
小口径でも容易にみることが出来る。今回の増光をみられなかった方も是非モニタ
ーしていただきたい。
極小は17-18pと言われるが、星の配列が適当なせいか良く見え、つい15等台の目測
値となる。リックでは明るく写っており、本当にそんなに暗いのでしょうか?
(あまり暗いとPGにはひっかからないと思うのだが)