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R CrB



R CrB            RCB            5.71-14.8v

 いまさら R CrBでもないとベテラン観測者は T CrBのついで(もっとひどいI氏
などはUZ Booのついでと言っているが)程度にしか考えていないようだが、マニア
と呼ばれる方はファインダーで見える(「いや肉眼で見える」という方もおられる
が)時でも主鏡で見るものである。すぐ近くにあるTT CrBを観測するためだが、わ
ずかの手間で R CrBと同じだけの目測数が得られるわけで、こういう1目測1目測
の積み重ねが目測数アップにつながることを認識させてくれる重要な例である。他
にもUU AqlのそばのPX Aqlなど多数の例がある。

RCB型の脈動周期(主としてShilyaevらによる)
         period       Telf
S Aps   130−140      4000
XX Cam      <40?     7200
UW Cen       43      6000
DY Cen      120?    10000
AE Cir      100?        ?
V CrA        75      4000
WX CrA       60      5000
R CrB     46−50      6900
RT Nor   59,175      7000
RZ Nor       68?     5000
RY Sgr     38.7      7100
VZ Sgr       47         ?
GU Sgr       38      5000
RS Tel     45.8      5000

「変光星」1989.12
R CrBの極大時の変光周期について
                              加藤 太一

 渡辺氏が「変光星」No.128にも述べられているように、RCB型の中には極大に
おいて周期数十日の脈動が見られるものがある。これまでRY Sgr,V854 Cenについ
ては日変研の眼視データからも周期性を検出できたのだが、代表星のR CrBは比較
星が良くないためか、どうもうまく出なかった。そこで、FG Sgeなどでうまくいっ
た観測者別のピリオドグラムをつくり、周期を検討してみることにした。

 用いたデータは1986-1988の連続した極大の期間の日変研のデータである。まずは
全員の観測を使って、これを以下のように処理してみた。

1)生データ:860413-880721 1648点 明確な周期性は見られず、1等程度の範囲
のばらつきがある。

2)これから、やや離れた観測をカットし、個人差補正プログラムを通した。する
と、両端で減光していることが明かになったので、期間を短縮した:860504-880622
1478点 グラフを見ると約1年の周期で0.2等ほど変光しているのがわかる。合
を過ぎた後の方が明るい傾向がある。極大時に使う比較星がR CrBの西側に多
い事を思い出せばこれは位置角誤差の可能性がある。変光星が下になる方が明るく
感じるという法則を一応確認できた。ただし、この周期が厳密に1年ではない(後
述)ので、あるいは本当の変光かもしれない。

 1.5カ月の周期は、良く見れば分かる。おそらく毎日の平均や移動平均をとれば
存在が容易に認められるであろう。

3)個人差補正において、やや大きなSD(ばらつき)を示した(大きくはずれた
データは前もって除いての話)観測者を除いた(H 0.17, T 0.14, W 0.13, H 0.13)
もの。1341点。

(結果:得られた周期を周期性の強い順に示す)

1)周期性弱く、明確なピークは示し難い。しいてあげれば 171, 52.9, 62.4, 74.5, 
468, 117 日 精度の悪いデータがいかに有害かよくわかる。
2)372, 180, 52.2, 44.2, 62.8
3)400, 182, 51.7, 141, 62.5, 44.2, 13.71
 厳選されたデータには、「変光星」に紹介されていたPASPの周期(43.83日)
に対応するものは一応認められる。ばらつきのやや大きい観測者を除いたものも、
傾向は同じであった。

 次に観測者別にしたデータ(やや離れた観測はあらかじめ除いた)を周期解析し
てみた。40目測以上の人の結果(noise level以上の周期)

   目測数  得られた周期(強度の強い順)
K    281   443, 197, 78.8, 52.0, 44.5
N    222   341, 120, 200, 51.8, 42.4, 60.9, 13.78
A    172   356, 52.3, 137, 61.1, 45.8
Y    151   455, 61.1, 46.3, 40.0, 14.98
M    124   random noise
O    105   14.75, 15.24
M     93   234, 49.1, 50.6, 24.71
H     92   66.3, 221, 44.5, 58.1
T     68   random noise, 18.88 marginal
M     62   468, 30.2  真の周期付近はむしろ低信号
H     53   431, 252, 11.92  真の周期付近はむしろ低信号
H     46   390, 172, 14.33
W     43   45.5, 86.2, 158
S     42   54.3, 41.6, 63.0, 98, 400

 真の周期から2日以内の値が一応出た人は優秀な目測としてよいでしょう。
 問題は、ほとんどの人にさらに長い周期性が、本来の周期よりも明確に認められ
るということです。周期1年に近いA,H,Nのものは位置角による変化とも考えられ
ますが、他の人ではそれよりも長い周期が得られています(K,Y,M,H,S)。これら
の値は割合せまい範囲に集まっており、本当にそのような周期が存在する可能性も
否定できません。光電測光では合に近いころは観測がないかもしれず、このような
長い周期の判定は難しいかもしれません。今後も観測を続けていただき、本当のと
ころを明かにしたいと思います。

 200日付近の周期は、この1/2Pに相当するものと思われます。

 この長い周期とその1/nを除けば、ほとんどの観測者は次に強い周期として
52, 44, 61日を挙げています。これらはかつて光電測光にて検出された周期に近い
ものです(この星については複数の周期の存在が示されています)。ゆえに、眼視
観測によってもR CrBの脈動を捉えることができたと結論してよいでしょう。

 月の位相に関連する1カ月の周期はMyy氏を除き、検出されませんでした。

 一方、一部の観測者(N,Y,O,H)は半月程度の短い周期を割合はっきりと捉えて
いますが、これはこれまで指摘されていないもので、系統誤差としての原因も思い
当たるものがありません。これも実在の周期の可能性がありますので、今後確認が
のぞまれます。