1)フィルターは特に必要ありません(光をなるべく多く使うために、もし取り 外せない場合を除いてフィルターを付けずに観測します) 2)CCDの読みだし時間をなるだけ短くする工夫をします。 CCDの種類によりますが、たとえば SBIG CCD であれば "low resolution" (低解像度)等のメニューを選ぶ、または他のCCDでは binning (ビニ ング)というメニューがないか探してみてください。 また、必要に応じて全視野を読みださずに、半分だけなどの部分読みだしを 使って時間短縮をしても構いません。 もしCCDの種類が選択可能であれば、「ABGの付いていない」CCDがベター です。例えば ST-7E 等であれば、十分満足のできる観測ができると思います。 3)積分時間は、天体と比較星(すぐ南の8.5等ぐらいの星)が飽和しない積分 時間に設定します。たとえば 25cm ぐらいの望遠鏡で、ノーフィルター、 low resolution (3x3 binning) の場合、5秒以下の積分時間が適切のよう です(2秒よりは短くしない方がよいでしょう)。 飽和しているかどうかは、星のピークのカウントを調べて判断します。 上限が 65535カウントになっているCCDでは、20000カウント程度以下に 積分時間を抑えるようにします。 4)連続撮像モードなど(SBIG CCD では auto grab メニュー)を用いて、でき るだけ隙間のない観測を行うようにします。観測時刻は秒まで必要ですが、 テスト撮影を行っていただいて、画像に記録される時刻が「露出開始」か、 「露出終了」か、あるいは記録されないかを予め確認しておいていただきま すようお願いします。「露出開始」以外の時刻が記録されるタイプのソフト であった場合は、各積分の露出開始時刻を人が別途記録して行った方が安全 でしょう。 5)観測は、最低限で1公転周期(81分)以上を連続して行います。できればで きるだけ長時間連続で撮り続けることが望ましいです。WZ Sgeは現在一晩中 観測可能です。 6)上記に関連して、必要な画像データ量を予測して、PCのディスクの空き容 量を十分取っておかれることをおすすめします。観測したのにディスクが満杯 でセーブされていない事故を避けるためです。 7)データのセーブ形式は FITS を選択します(8bitではなく、16bitのFITS形式 です)。 8)ダークフレームを観測前と後に(CCDの温度が安定していれば、観測を中断 して撮る必要はありません)、観測と同じ積分時間で、20-50枚程度撮ってお きます。 9)フラット画像は望遠鏡を止めて、薄明を撮るのが簡単ですが、よりよい方法 がありましたらそちらをお使いください。いずれにしてもダークフレームと 同様に20-50枚程度(飽和させないように注意)、および対応する積分時間 のダークフレームを取得しておきます。 10)実際の観測前の昼間に、上記手順がうまくいくか、予行演習を行うとよいで しょう。またCCDの温度が安定するまでに時間がかかることがありますの で、CCDの冷却は観測開始の2時間ぐらい前に始めておくとベターです。 例えば、京都大学での観測は以下のように行っています。 望遠鏡:ミード25cm経緯台 CCD:SBIG ST-7E no-ABG ・CCD冷却は夕暮れ1時間前から開始 ・パソコンの時計合わせ、またディスク空き領域の確保 ・ソフトはCCDOPSWを使用 ・3x3 binning (low resolution 低解像度), full frame 読みだし reuse darks: No (ダーク再利用はしない) light frames only (ダークを同時撮像しない) ・観測前に、予測される積分時間(例えば5s)のダークを20-40枚取得 (ST-7E, CCDOPSWで温度設定が適切であれば、CCDの温度変化はほとんど ないので、そのまま明け方までダークは撮らないことが多い) ・天体に向ける。予測積分時間(例えば5s)で、天体と比較星の max count が 25000 を超えないことを確認する。 ・auto grab でデータを取得する(パラメータは上記)。1000枚を連続で撮り、 その間はダーク画像は撮らない。上記設定であれば、8-10秒に1枚の撮像が行 われるはず。セーブはFITS形式(16bit)で行う。 ・雲が少々通過した程度では観測は中断しない。 ・一晩中観測すれば、1000枚のシリーズを数回行うことができる。 ファイル名は swz01.001 - swz01.999 のようになる(s=short, wz=WZ Sge を表す略称にしている)。 ・観測終了後に夕方と同様にダークを撮っておきます。観測途中に違う積分時間 の観測がある場合は、その積分時間に合わせたダークを追加して撮っておきま す。 ・フラットは別の日によい条件で撮られたものを利用している(これは常時観測 に使っていることによる特殊事情です。一般には毎晩フラットを撮る必要があ ります)。
Return to Daisaku Nogami's page